カーラッピングの仕上がりを左右するのは、施工前の下地処理です。とくに表面の汚れや油分をきれいに除去するための道具として、マイクロファイバークロスとIPA脱脂剤は欠かせません。
この記事では、それぞれの特徴と選び方のポイントを解説します。
商品の例
カーラッピングを成功させるには、事前の下準備をどれだけ丁寧に行えるかがカギになります。
中でも「マイクロファイバークロス」と「IPA脱脂剤(イソプロピルアルコール)」は、施工前の清掃作業に欠かせない基本ツールです。
マイクロファイバークロスは極細繊維でできており、塗装面を傷つけにくく、汚れやホコリをしっかりと絡め取ってくれます。カーラッピング用としては、毛足が短めで、繊維のケバ立ちが少ないタイプが使いやすく、ラップ前の拭き取り作業に適しています。
一方、IPA脱脂剤はラッピングフィルムの密着性を高めるために欠かせない溶剤です。市販されているIPA製品の多くはスプレーボトル式になっており、クロスに吹きかけて使用するのが一般的です。濃度70〜99%のものが多く、脱脂力の高さや揮発性の速さなどに違いがあります。
脱脂セットとして販売されている商品には、クロスとIPAがセットになっているものや、使い捨てのワイプタイプもあります。用途や作業量に合わせて、セット内容を確認して選ぶのがポイントです。
使い方ポイント
脱脂作業を成功させるには、正しい順序と適切な使い方が欠かせません。まず、車体の表面にホコリや泥などが付着している場合は、水洗いと乾拭きをしておく必要があります。その後にIPA脱脂剤を使用して、目に見えない油分やワックス残りを丁寧に除去していきます。マイクロファイバークロスは、新品を使うか、洗濯済みの清潔な状態のものを使用しましょう。繊維にゴミや砂が残っていると、それだけでボディに細かなキズをつけてしまうリスクがあります。
IPA脱脂剤を直接ボディにスプレーするのではなく、クロスに適量を吹きかけ、やさしく拭き取っていくのが基本です。塗装面が熱を持っている状態や直射日光の下では、IPAがすぐに揮発してしまい効果が薄れるため、なるべく日陰での作業が望ましいです。
作業後にはIPA成分が完全に乾いたことを確認してからラッピング作業に進みましょう。拭き残しがあるとフィルムの接着が甘くなり、浮きや剥がれの原因になることがあります。丁寧な作業こそが、仕上がりを左右します。
選ぶときの注意点
脱脂に使うマイクロファイバークロスは「ラッピング専用」や「脱脂専用」と表示されている製品を選ぶのが無難です。家庭用の汎用品の中には、柔軟剤などの成分が残っていることがあり、逆に油膜の原因になる場合があります。クロスは白やグレーなど、汚れが目視しやすい色がおすすめです。
IPA脱脂剤についても、濃度や成分表記をしっかり確認することが大切です。純粋なIPA100%製品は脱脂力が非常に高い反面、揮発が早いため作業スピードが求められます。初心者には水を少量含んだ70〜80%程度の製品の方が扱いやすいケースもあります。
また、安全面にも配慮が必要です。IPAは可燃性が高く、吸引すると健康への影響もあるため、使用中は換気をしっかり行い、火気の近くでは使わないようにしましょう。ゴム手袋を併用することで、肌荒れを防ぐこともできます。
ラッピング作業は準備が8割とも言われるほど、下地処理が仕上がりを大きく左右します。道具を正しく選び、適切に使うことが美しいラッピングを成功させる第一歩です。自分に合ったツールを見つけて、安心・安全に施工を進めましょう。
