カーラッピングをDIYで楽しむ際に、多くの人がつまずくのが気泡やしわの発生です。仕上がりの美しさを左右するこれらのトラブルは、施工時のちょっとした工夫で防げるもの。基本手順から修正方法まで、失敗しないための対策をしっかり押さえておきましょう。
気泡を残さない基本手順
カーラッピングを行う際、仕上がりを大きく左右するのが“気泡”です。施工時に空気を閉じ込めてしまうと見た目が悪くなるだけでなく、時間が経つにつれてフィルムが浮いてしまう原因にもなります。これを防ぐには、最初の準備段階から丁寧に行うことが欠かせません。
まず、貼り付ける面の洗浄は念入りに行いましょう。ホコリや油分が少しでも残っていると、フィルムが浮きやすく、密着性が低下します。中性洗剤などで洗車したあと、アルコール系の脱脂剤でしっかりと拭き上げるのがポイントです。
次に重要なのは、施工時の“貼り進め方”です。一気に大きな面を貼ろうとせず、フィルムを少しずつめくりながら、中央から外側に向けて空気を押し出すようにスキージーを動かしていきます。端から端まで一気に貼ると、空気の逃げ道がなくなり気泡が入りやすくなります。
万が一小さな気泡が残ってしまった場合は、針などで表面に小さな穴を開け、空気を押し出すことで修正が可能です。施工直後であればこの方法でも目立ちにくく、自然に馴染みやすくなります。
スキージーの使い方のコツ
ラッピングの成功を左右するもう一つの道具が「スキージー」です。これはフィルムをボディに押し付けながら気泡を逃し、均一に貼り付けるためのツールです。ただし、使い方を誤るとフィルムに傷がついたり、逆にしわや気泡の原因になることもあるため注意が必要です。
スキージーを使う際は、強く押し付けすぎないことが大切です。力任せに押すのではなく、フィルムの流れに沿ってやや斜めに滑らせるように動かすと、均一な圧がかかって美しく仕上がります。
また、スキージーには布付きタイプやフェルトパッドが付いているものを選ぶと、フィルムを傷つけにくくなります。特に光沢系やマット系など、表面の質感が際立つフィルムの場合は、ツールの選び方にも気を配ると仕上がりが格段に向上します。
スキージーの先端が汚れていると、フィルムに細かいゴミを巻き込んでしまう原因になります。施工前にはツール自体のメンテナンスも忘れずに行い、常に清潔な状態で作業することが重要です。
しわができた時のリカバリー法
しわは気泡よりも目立ちやすく、特に曲面にフィルムを貼る際によく発生します。しかし、しわができても慌てる必要はありません。適切な方法を知っていれば、リカバリーすることは十分可能です。
まず基本として、フィルムは温めることで柔らかくなり、伸縮性が高まります。ヒートガンやドライヤーでしわが寄っている部分を温めると、フィルムが元の形状に戻ろうとする性質を利用して、しわを解消できます。
しわを引っ張って無理に伸ばそうとすると、フィルムが変形してしまったり、貼り直しても跡が残ってしまう場合があります。温めた上で優しく引っ張りながら、再度スキージーで丁寧に伸ばしていくことが基本です。
それでもしわが残る場合は、一度その部分のフィルムを剥がしてやり直すのが無難です。粘着力がまだ残っている段階であれば、何度か貼り直しが可能なフィルムも多く販売されています。
部分的な失敗は誰にでも起こり得ますが、事前にリカバリー方法を理解していれば落ち着いて対処できます。失敗を恐れず、まずは小さなパネルから練習を重ねていくことが、スムーズなDIYラッピングへの近道となるでしょう。